2006-09-27

宇宙論の話 -その2-

夜がなぜ暗いか?それは、宇宙が膨張しているからです。

アインシュタインは、一般相対性理論から導かれる1つの結論として、4次元時空と物質場(当時は電磁場しか知られていませんでしたが)の量 を結びつける方程式を提示しました。その方程式を重力場の方程式(またはアインシュタイン方程式)といいます。はじめ、アインシュタインの重力場の方程式には、負の万有引力(つまり万有斥力)に相当する項(宇宙項)が含まれていました。アインシュタインは、「宇宙は定常状態にあり、銀河は静止している」と考えていたので、この宇宙項によってバランスをとったのです。この宇宙モデルをアインシュタイン宇宙モデルといいます。

ところが、その後、アメリカの天文学者ハッブルによって、多くの銀河はその距離に比例した速さで遠ざかっているという、ハッブルの法則が発見されました。これは、宇宙の膨張を示すものでした。また、フリードマンが重力場の方程式の厳密解の1つを発見し、アインシュタイン宇宙モデルは非常に不安定であって、安定な解(フリードマンの宇宙モデル)は宇宙が膨張(あるいは収縮)していることを示唆していました。後に、アインシュタインは「宇宙項を加えたのは人生最大の過ちであった」として、宇宙項を削除しました。

話はこれで終わりではなく、近年、この宇宙項が別の側面から再び脚光を浴びています。その辺の事情を説明するためには、かなりの下準備が必要です。

数回に分けて説明しますので、今日はここまでにしておきましょう。