2006-09-25

宇宙論の話 -その1-

夜はなぜ暗いのでしょう?

目に見える星々の隙間には、数多くの銀河が存在しています。もしも宇宙が無限に続いており、銀河の数も無限大であったならば、地球上には無限の光が降り注ぎ、何も存在できなくなります。

宇宙に銀河が均等に分布しており、それが無限に続いていると仮定してみます。

まず、半径$r$の球と半径$r+d$($r$≫$d$)の球にはさまれた球殻(A)を考え、その中に存在する銀河の数を$a$個としましょう。次に、半径$2r$の球と半径$2r+d$の球にはさまれた球殻(B)を考え、その中に存在する銀河の数を$b$個とします。

そこで、AとBの体積は表面積にほぼ比例し、それぞれの体積は半径の2乗に比例するはずですから、Bの体積はAの体積の4倍となります。したがって、Bに含まれる銀河の個数は、Aに含まれる銀河の個数の4倍です。だから、$b=4a$です。

一方、光の明るさは距離の2乗に反比例します。したがって、Bに含まれる1つの銀河の明るさは、Aに含まれる1つの銀河の明るさの1/4となります。

以上を合わせて考えると、

球殻Aの明るさ=Aに含まれる1つの銀河の明るさ×$a$
球殻Bの明るさ=Aに含まれる1つの銀河の明るさの1/4×$4a$

∴ 球殻Aの明るさ=球殻Bの明るさ

となり、Aからやってくる光の総量とBからやってくる光の総量は等しいことになります。そして、このような球殻を次々に考えていくと、ある一定の量が無限に加えられていくわけですから、無限の光が降り注ぐことになってしまうというわけです。なのに、現実の夜空は暗い。これをオルバースのパラドックスと呼んでいます。

このパラドックスを解く鍵は、宇宙の膨張にあります。つまり、ここまでの話は、銀河が常に同じ場所にあるということと、銀河が無限にあるということが前提だったわけで、その前提が間違っているということです。この続きは、また次回に…