クォークとレプトンの一覧には、光の量子(光子といいます)が含まれていません。光子は、クォークやレプトンとは種類の異なる量子なのです。以下、"量子"と書くとわかりづらいので、"粒子"と書きます。
まず、物体間に働く力について説明しましょう。力にはいろいろな種類があります。押したり引いたりする力、重力、摩擦力、電気的な力、分子間に働く力などなど。しかし、重力を除くほとんどの力は、本質的に電磁気力が複雑にからまっているだけなのです。重力・電磁気力とは根本的に異なる力もあります。原子核内部で働く強い力と、原子核の分裂反応に関与する弱い力と呼ばれるものです。現在、わかっている力の種類は、本質的に、この4種類だけです。それでは、力とは何なのでしょう?
物体に力を加えると、その物体が変形したり、その物体の運動が変化したりします。ただし、その物体は、勝手に変化したのではなく、力を加えた他の物体があるはずです。そうした力を加えた物体にもまた、何らかの変化が起こっているはずです。力を加えたものと力を加えられたものがともに変化するのですから、どちらが主体とはいえません。そこで、こうした作用を相互作用と呼ぶことにします。
そこで、質問を変えましょう。相互作用とは何でしょう?
物体どうしが互いに何らかの変化を及ぼし合うことというのが1つの答えです。その変化は、なぜ1つの物体からもう1つの物体へと作用するのでしょうか?
先に挙げた4種類の力は、正確には次の相互作用に相当します。ただし、ハドロンとは、核子(陽子・中性子の総称)などのクォークの組合せによって構成される粒子です。- 重力相互作用:質量をもつ物体間に作用する。
- 電磁相互作用:電荷をもつ物体間に作用する。
- 強い相互作用:ハドロン間に作用する。
- 弱い相互作用:ハドロンとレプトンの間に作用する。
これらの相互作用の中で、最初にその本質が明らかにされたのは、強い相互作用です。湯川秀樹が発表した中間子論が、その発端でした。湯川英樹が考えたのは、核子間に働く強い相互作用は中間子(当時まだ未発見)を交換しているために生じているのだということです。
このように、"粒子の交換"という形で相互作用を説明したのが画期的なところです。当時は、クォークという概念はありませんので、核子間の作用を考えていましたが、粒子の交換という猫像は、クォーク間でも成り立ちます。クォークどうしを結び付けている強い相互作用に対応する粒子は、グルーオンと呼ばれています。このように、それぞれの相互作用にはその媒体となる粒子が伴っていると考えられているのです。
かなり遠回りでしたが、やっと光の話に戻ります。結論をいうと、光子は電磁相互作用を媒介する粒子なのです。こうした相互作用を媒介する粒子をボソンといいます。ボソンの種類をまとめておきましょう。
重力相互作用 | 電磁相互作用 | 強い相互作用 | 弱い相互作用 |
グラビトン | フォトン(光子) | グルーオン | ウィークボソン |
未発見 | 質量なし | 質量なし | 質量をもつ |
これらの相互作用のうち、高いエネルギー状態では、弱い相互作用と電磁相互作用は本質的に同一の相互作用であることがわかっています(電弱統一理論)。より高いエネルギー状態では、強い相互作用も同一のものではないかとする大統一理論という考え方や、さらにはすべての相互作用が本質的には同じものなのではないかとする理論(現在、有力なのはM理論)もあります。