2011-08-14

Dark matter may be an illusion caused by the quantum vacuum

暗黒物質(ダークマター)の存在を示す観測証拠として、銀河円盤の回転曲線問題がある。Slashdotによれば、CERNの物理学者Dragan Slavkov Hajdukovic氏は、暗黒物質は存在せず、暗黒物質の存在の結果と考えられていた銀河の回転に関する現象は、量子真空の重力の分裂によって説明できるかも知れないと発表しているとのこと。今後の実験と観測によって、彼の予測と一致するかどうかが明らかになるとのこと。

2010-08-11

Blogiloテスト

Blogiloからの投稿テスト

$R_{\mu \nu}-\frac{1}{\,2\,}g_{\mu \nu}=\kappa T_{\mu \nu}$

投稿済みのポストの修正も可能。


2010-07-10

LaTeXテスト

Bloggerで数式を書くテスト

2次方程式 $ax^{2}+bx+c=0$ の解は,

  $x=\dfrac{-b\pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}$

運動方程式

  $ m\alpha =mg\sin \theta -\mu N \cdots$(1)

  $ N=mg\cos \theta \cdots$(2)

  $ \alpha=0$のとき, (1)・(2)より $ \mu=\tan \theta$

2006-10-04

宇宙論の話 -その3-

本年度のノーベル物理学賞にジョージ・スムート教授が選ばれたそうです。先ほどニュースで知りました。

スムート教授は、COBE(Cosmic Background Explorer)という宇宙背景放射の観測衛星を使って、宇宙背景放射にゆらぎがあることを実証したことを評価されたようです。このゆらぎが宇宙の初期に銀河の種になったものと考えられています。COBEの予算を獲得する際、「我々は神を見ることができる」といって説得したそうです。

ということで、今回は宇宙背景放射について触れてみたいと思います。

宇宙背景放射は、1964年にベル研究所のペンジャスウィルソンという2人の天文学者が電波望遠鏡の雑音を減らす研究を行っていた際に、偶然発見されました。観測データの中にどうしても消せない雑音があり、そのスペクトルが約3Kの物体から出される黒体輻射に酷似しているということがわかったのです。ペンジャスとウィルソンは、この発見により1978年度のノーベル物理学賞を受賞しています。

実は、宇宙背景放射の発見よりずっと以前(1940年代)にジョージ・ガモフらがビッグバン理論をもとにしてこのタイプの放射の存在を予言していました。当時は、定常宇宙論とビッグバン理論が対立していて、3Kという値はむしろ定常宇宙論の予言する値に近かったのですが、その後、あまりにも滑らかであることがわかり、ビッグバン理論が支持されるようになっていったそうです。

COBEの生のデータを見たことがありますが、黒体輻射に酷似しているなどというレベルではありませんでした。あれはどんなデータよりも正確に黒体輻射そのものです。あんなにエラーバーの狭いデータは見たことありません。寒気がする程、文字どおりピッタリ一致していました。あぁビッグバンは本当にあったんだと感動したものです。仮りに背景放射のゆらぎが発見されていなかったとしても、あのデータだけでノーベル賞ものだと思います。

光の速度が有限である限り、はるか彼方の宇宙を見るということは、はるか昔の宇宙を見るということと同値です。いま100億光年先にある(ように見える)銀河の光は、100億年前にその銀河から放射されたものなのです。宇宙背景放射は、それよりもずっと遠くからやってきています。つまり、銀河が生まれるずっと以前に放射されたものということです。スムート教授が観測した宇宙背景放射は、ビッグバンが起こってからわずか40万年後と考えられています。

現在、我々が観測できる最も遠く最も古い天体は、他でもないこの宇宙そのものなのです。
宇宙背景放射を出している「天体」よりも遠くには何があるのでしょうか?次のように言い換えてもいいでしょう。ビッグバンの前には一体何があったのでしょうか?

いま考えられている答えの1つは「」です。この辺りの話は、素粒子物理にも関係しています。世の中で最も大きな存在が、世の中で最も小さなものの研究と密接に結び付いていることになります。不思議ですね…。

2006-09-27

宇宙論の話 -その2-

夜がなぜ暗いか?それは、宇宙が膨張しているからです。

アインシュタインは、一般相対性理論から導かれる1つの結論として、4次元時空と物質場(当時は電磁場しか知られていませんでしたが)の量 を結びつける方程式を提示しました。その方程式を重力場の方程式(またはアインシュタイン方程式)といいます。はじめ、アインシュタインの重力場の方程式には、負の万有引力(つまり万有斥力)に相当する項(宇宙項)が含まれていました。アインシュタインは、「宇宙は定常状態にあり、銀河は静止している」と考えていたので、この宇宙項によってバランスをとったのです。この宇宙モデルをアインシュタイン宇宙モデルといいます。

ところが、その後、アメリカの天文学者ハッブルによって、多くの銀河はその距離に比例した速さで遠ざかっているという、ハッブルの法則が発見されました。これは、宇宙の膨張を示すものでした。また、フリードマンが重力場の方程式の厳密解の1つを発見し、アインシュタイン宇宙モデルは非常に不安定であって、安定な解(フリードマンの宇宙モデル)は宇宙が膨張(あるいは収縮)していることを示唆していました。後に、アインシュタインは「宇宙項を加えたのは人生最大の過ちであった」として、宇宙項を削除しました。

話はこれで終わりではなく、近年、この宇宙項が別の側面から再び脚光を浴びています。その辺の事情を説明するためには、かなりの下準備が必要です。

数回に分けて説明しますので、今日はここまでにしておきましょう。

2006-09-25

宇宙論の話 -その1-

夜はなぜ暗いのでしょう?

目に見える星々の隙間には、数多くの銀河が存在しています。もしも宇宙が無限に続いており、銀河の数も無限大であったならば、地球上には無限の光が降り注ぎ、何も存在できなくなります。

宇宙に銀河が均等に分布しており、それが無限に続いていると仮定してみます。

まず、半径$r$の球と半径$r+d$($r$≫$d$)の球にはさまれた球殻(A)を考え、その中に存在する銀河の数を$a$個としましょう。次に、半径$2r$の球と半径$2r+d$の球にはさまれた球殻(B)を考え、その中に存在する銀河の数を$b$個とします。

そこで、AとBの体積は表面積にほぼ比例し、それぞれの体積は半径の2乗に比例するはずですから、Bの体積はAの体積の4倍となります。したがって、Bに含まれる銀河の個数は、Aに含まれる銀河の個数の4倍です。だから、$b=4a$です。

一方、光の明るさは距離の2乗に反比例します。したがって、Bに含まれる1つの銀河の明るさは、Aに含まれる1つの銀河の明るさの1/4となります。

以上を合わせて考えると、

球殻Aの明るさ=Aに含まれる1つの銀河の明るさ×$a$
球殻Bの明るさ=Aに含まれる1つの銀河の明るさの1/4×$4a$

∴ 球殻Aの明るさ=球殻Bの明るさ

となり、Aからやってくる光の総量とBからやってくる光の総量は等しいことになります。そして、このような球殻を次々に考えていくと、ある一定の量が無限に加えられていくわけですから、無限の光が降り注ぐことになってしまうというわけです。なのに、現実の夜空は暗い。これをオルバースのパラドックスと呼んでいます。

このパラドックスを解く鍵は、宇宙の膨張にあります。つまり、ここまでの話は、銀河が常に同じ場所にあるということと、銀河が無限にあるということが前提だったわけで、その前提が間違っているということです。この続きは、また次回に…


2006-09-20

暗黒物質の話

世の中、目に見えるものだけがすべてとは限りません。でも、知らず知らずのうちに、ほとんどのものは目に見えるはずだという先入観を持ってしまっています。

一見関係のない話で始めてしまいましたが、銀河の話の続きです。1つの例として、渦巻銀河の回転速度について触れておきましょう。

渦巻銀河は約2億5000万年の周期で回転しています。かなり遅いように思えますが、銀河の直径は10万光年ほどありますので、銀河の外周部では、なんと時速135万6500kmにもなります(計算間違えてたらごめんなさい)。

300000x60x60x24x365x100000x3.14/(250000000x365x24)

=1356480 (km/h)

さて、問題はその速さではなく、中心部から外周部にかけての回転速度の変化のしかたで、ケプラーの法則によれば、外周部では回転速度は急激に遅くなっていくはずなんです。外側に何もなければ

ところがです。驚いたことに、銀河の回転速度は中心から外側にいくほど速くなっていき、一定の半径より外側では回転速度が減少せず、ほぼ一定の値を保っているのです。この現象を説明するには、ケプラーの法則(ひいては万有引力の法則)を疑うか、銀河全体を大きく包む何らかの物質が大量に存在しなければなりません。

銀河のレベルで万有引力の法則を疑うわけにはいきませんから、当然後者であろうと予測されます。

そうすると、その正体はなんなんだという話になって、それを目に見えない物質という意味で、暗黒物質(Dark Matter )と呼んでいるのです。

銀河は光り輝く恒星だけで成り立っているわけではなく、地球のような暗い惑星や近くに恒星のないガス雲などもあるわけですが、暗黒物質の量はそれだけでは到底足りません。

暗黒物質の質量は、なんと観測されている物質の100倍近いと予測されています。宇宙全体の質量の97%ほどが暗黒物質だというのです。言い方を変えると、我々は宇宙のたった3%しか知らないのです!

はるか遠くのクェーサーを発見し、宇宙背景放射(CBR)でビッグバンの名残りも見つけ、宇宙のほとんどを理解したと思っていた天文学者は愕然としたことでしょう。

暗黒物質の正体は、今でも謎のままです。有力な候補として、ニュートリノがあります。ニュートリノの性質はまだよくつかめておらず、質量があるかないかもはっきりしていませんでした。ニュートリノは大量に存在しているので、もしほんのわずかでも質量をもつとしたら、暗黒物質の大部分を説明できるかも知れません。しかも、最近の実験では、質量をもつことが確実視されています。

それでも、暗黒物質のすべてを説明できるとは考えられません。未発見の素粒子の可能性もあります。また、もっと根本的に万有引力の法則が間違っているのかも知れません。さらにいえば、我々の知らない第5の力が働いているのかも知れないのです。


2006-09-17

銀河の種類の話

銀河にはさまざまな種類があります。銀河系がSb型かSBb型かという話を書きましたが、これは形状をもとにしたハッブルの分類を基準にした表現です。

ハッブルの分類によると、銀河は次のような種類に分けられます。
 
 渦巻銀河 :Sa 型 → Sb 型 → Sc
 棒渦巻銀河SBa 型 → SBb 型 → SBc
 楕円銀河 :E0 型 → E1 型 → … → E7
 不規則銀河Irr

渦巻銀河・棒渦巻銀河のa,b,cの記号は、渦の巻き方がゆるいものからきついものへの変化を表します。また、楕円銀河の0,1,…,7は、数字が大きいほど回転楕円体の短軸と長軸の比の1:1からのズレが大きいことを表します。

ただし、これは形状のみに注目した分類で、その起源や性質については考えていません。例えば、楕円銀河は、渦巻銀河よりも巨大なものが多いですし、不規則銀河は複数の銀河が合体(マージング)してできたものらしいということがわかってきています。

さらに、X線で明るく見えるものや赤外線で明るく見えるものなどさまざまです。中には、2つの銀河が衝突しつつあるように見えるものもあります。

天の川は銀河系を内側から眺めた姿ですが、射手座付近には銀河系の中心があります。天の川を赤外線で撮影すると、まさにディスク(渦巻銀河の腕の部分)とバルジ(渦巻銀河の中心部にある球状構造)が見事に見えてきます。

銀河の中心には何があるのでしょうか?

最近の研究では、太陽の200万倍程度の質量をもつブラックホールがあると考えられています。銀河の中心部を銀河中心核といい、特にX線などの放射量が多いものを活動銀河中心核(Active Galactic Nuclei = AGN)と呼んでいます。

このような中心核の活動性に基づく分類もあります。

セイファート銀河(Seyfert Galaxy)

輝線に幅の広い成分が存在する1型とそのような成分の見られない2型に分類される。

クエーサー(quasar)

遠方に見られる異常に明るい天体で、以前は銀河中心核との関係は不明であった。現在観測されている最も遠い天体もクエーサーの仲間である。

ライナー(LINER)

セイファート銀河やクエーサーに比べると低電離の輝線が強いのが特徴。近くの銀河の1/3がこのグループに分類される。

ブレーザー(Blasar)

激しい明るさの変動があり、偏光している。降着円盤の中心から垂直方向にジェットが吹き出していて、その進行方向から観測しているのだと考えられている。

電波銀河(radio galaxy)

文字どおり電波強度の強い銀河。M87が有名。可視光では楕円銀河に見えるが、電波で見ると銀河規模で広がるジェットが見える。

これらの銀河は、「銀河中心核の活動性が異なっていたり、中心核をどの方向から眺めているかということによる見え方が違うだけで、本質的には同類だ」とするAGNの統一理論というのも提唱されています。

銀河の謎は奥が深いです。何よりもその雄大な美しい姿を見たら、誰でも不思議な気持ちになるのではないでしょうか?

2006-09-10

銀河の話

今回は、大きく視点を変えて、マクロな世界を眺めてみましょう。

地球は太陽のまわりを公転しています。最近、惑星の仲間からはずれてしまった冥王星の平均公転半径は 5,913,520,000 km で、その先にはエッジワース・カイパーベルトや彗星の巣といわれているオールトの雲などがあります。太陽系といえるのは、このあたりまででしょう。

太陽系は銀河系の中にあり、銀河系の中心部から約3万光年の位置にあると考えられています。銀河系は、約1000億個の恒星と多量のガスで構成されていて、直径約10万光年のディスクをもち、中心部分にはバルジと呼ばれる球状部があります。さらに、全体を包みこむように数多くの球状星団ハローと呼ばれる部分に分布しています。これまで、銀河系は渦巻銀河(Sb型)であるとみなされてきましたが、最近では、中心に棒状の部分をもつ棒渦巻銀河(SBb型)なのではないかという説が有力です。

さて、このような銀河はどのくらいあるのでしょう?

直径数百万光年ほどの中に、数十個の銀河が集まったものが銀河群ですが、銀河系とアンドロメダ銀河を含む銀河群を特に局部銀河群と呼んでいます。局部銀河群は、直径約300万光年で、約30個の銀河を含んでいます。また、直径1000万光年ほどの範囲に数百個~数千個の銀河が集まった銀河団という集団もあります。銀河系に最も近いのは、おとめ座銀河団です。約6000万光年の距離にあり、約1200万光年の範囲に約2500個の銀河が含まれています。こうした銀河団が1万個以上ありますので、少なくとも数千万個の銀河が存在することになります。

さらに、このような銀河団や銀河群が連なっている、長さ3億光年ほどの大きな集団もあります。これは超銀河団と呼ばれる構造で、我々が住んでいる銀河系は、おとめ座銀河団を含む局部超銀河団(おとめ座超銀河団)に属しています。

普段、夜空を眺めていても、これだけの数がある銀河に気付くことはありません。それは、アンドロメダ銀河を除くほとんどすべての銀河が暗すぎて眼に見えないためです。澄んだ夜空を見たことはありますか?そのとき眼に写るのは、例外なく銀河系内の恒星や太陽系内の惑星だけです。しかし、その星々の隙間には、ぎっしりと数多くの銀河が埋まっているのです。

宇宙には、もっと大きな構造も存在します。それらを宇宙の大規模構造と呼んでいますが、この辺の話は今後の話題としてとっておきましょう。


2006-09-09

場の話

光は波の性質をもっています。古典物理の立場で考えると、波が伝わるには媒質が必要です。一方、光は世の中で最も速く伝わり、真空中でも伝わるということがわかっています。

一般に、波の速さは媒質の硬さが硬い程、速く伝わるはずです。そうすると、正体はわかりませんが、真空中にとてつもなく硬い媒質があることになってしまいます。そこで、何か得体の知れない媒質があると考え、その媒質をエーテルという名で呼んでいました。結局、エーテルは見つからず、通常の物質では説明できませんでした。その当時から、光が電磁波の一種であり、電場と磁場の振動であることはわかっていましたが、電場と磁場(電磁場)の正体がわからなかったわけです。

このように考えてみたらどうでしょう?

例えば、電光掲示板。電光掲示板の上には、小さな発光ダイオードが格子状に並んでいます。これらの発光ダイオードの位置は固定されていますが、そこに表示される文字はあたかも動いているように見えます。実際には1つ1つの素子が点滅を繰り返しているだけで、動いているように見えるのは、点滅のパターンを情報として与えているからです。

電光掲示板のようなもの(電磁場)が目に見えない空間の中に存在し、そこに映し出された光点が光の量子だとしたら、媒質が動くこともなく光の量子が空間の中で伝搬することができるのではないでしょうか?

この仮想的な電光掲示板を積み重ねて立体にすれば、現実の3次元空間との対応も可能です。簡単に言うと、空間そのものに電磁波を伝える属性があると考えれば、説明がつくわけです。この属性こそ、電磁場の正体なのではないでしょうか?

これは光の量子だけに限ったことではありません。電子やクォークも量子ですから、粒子としての性質だけでなく、波としての性質をもっています。電子やクォークもまた、電子の場クォークの場という"仮想的な電光掲示板"を伝わる光点に過ぎないのではないでしょうか?

このように、すべての物質つまり量子がそれぞれの場の振動に過ぎないという立場から、量子力学を再構成した理論を場の量子論といいます。

この手の話を正確に伝えるには、高度な数学的な知識が必要になります。今後、多少高校生でも理解できるような部分については、若干数式を交えて解説していきたいと思っていますが、今回はこの辺で止めておきましょう。