2006-09-09

場の話

光は波の性質をもっています。古典物理の立場で考えると、波が伝わるには媒質が必要です。一方、光は世の中で最も速く伝わり、真空中でも伝わるということがわかっています。

一般に、波の速さは媒質の硬さが硬い程、速く伝わるはずです。そうすると、正体はわかりませんが、真空中にとてつもなく硬い媒質があることになってしまいます。そこで、何か得体の知れない媒質があると考え、その媒質をエーテルという名で呼んでいました。結局、エーテルは見つからず、通常の物質では説明できませんでした。その当時から、光が電磁波の一種であり、電場と磁場の振動であることはわかっていましたが、電場と磁場(電磁場)の正体がわからなかったわけです。

このように考えてみたらどうでしょう?

例えば、電光掲示板。電光掲示板の上には、小さな発光ダイオードが格子状に並んでいます。これらの発光ダイオードの位置は固定されていますが、そこに表示される文字はあたかも動いているように見えます。実際には1つ1つの素子が点滅を繰り返しているだけで、動いているように見えるのは、点滅のパターンを情報として与えているからです。

電光掲示板のようなもの(電磁場)が目に見えない空間の中に存在し、そこに映し出された光点が光の量子だとしたら、媒質が動くこともなく光の量子が空間の中で伝搬することができるのではないでしょうか?

この仮想的な電光掲示板を積み重ねて立体にすれば、現実の3次元空間との対応も可能です。簡単に言うと、空間そのものに電磁波を伝える属性があると考えれば、説明がつくわけです。この属性こそ、電磁場の正体なのではないでしょうか?

これは光の量子だけに限ったことではありません。電子やクォークも量子ですから、粒子としての性質だけでなく、波としての性質をもっています。電子やクォークもまた、電子の場クォークの場という"仮想的な電光掲示板"を伝わる光点に過ぎないのではないでしょうか?

このように、すべての物質つまり量子がそれぞれの場の振動に過ぎないという立場から、量子力学を再構成した理論を場の量子論といいます。

この手の話を正確に伝えるには、高度な数学的な知識が必要になります。今後、多少高校生でも理解できるような部分については、若干数式を交えて解説していきたいと思っていますが、今回はこの辺で止めておきましょう。